里芋はフライドポテトの大きさに切って、片栗粉と塩、胡椒をまぶし、鱈を囲うようにトレーへ入れてオーブンに任せるだけだ。

 炊飯器のピラフが炊けて、ある程度蒸し終わった頃には焼きあがるだろう。

 最後にソースだ。ボウルに水を切ったヨーグルトを出して、ほんの少しマヨネーズ、みじん切りにしたピクルスとキャベツ、マスタードを混ぜる。これでタルタルソースの出来上がり。

 タルタルソースを器に盛り、炊飯器とオーブンが完成を知らせてくれるのを待っていると、見計らったように日野くんが近寄ってきた。

「後は炊き上がるのを待ってる感じ?」

「うん、そうだよ」

「そっか……なら道具でも見る?」

 そう言って彼はシステムキッチンの引き出しを引く。鏡面仕様の引き出しからは、スキレットや変わった形をしたケーキの型、買おうかなと思って悩んだりしていた調理道具たちが丁寧に収納されていた。

「わ……」

「引き出しにあるものとか、ここにある道具全部使っていいから」

「え、い、いいの? すごく高いのもあるよね……?」