「そ、そうなんだ」

 一緒に。

 その言葉が強調された気がして心臓の鼓動がまた一段と早くなった。顔に熱がこもっていくのを誤魔化すように俯いていると、彼は私の顔を覗き込んで私の肩に触れた。

「五十嵐さん来るから、食材一通り揃えたんだ。だから好きなの使ってね」

 日野くん何てことないように話をしているけど、彼は買い物が苦手なはずだ。囲まれるとか言っていたし宅配の件だって多分傷は癒えていないはず。それなのにお買い物しておいてくれたんだ。

「ありがとう。日野くん」

「気にしないで、普段五十嵐さんにしてもらってることだし……。こちらこそいつもありがと」

 夏の日差しを受けながら、日野くんは笑う。彼の笑顔は何度も見たはずで特に思うことなんてなかった。

 でも、今日は酷く胸がぎゅっとして、私は顔が赤くなるのを隠しながら日野くんの隣を歩いていた。





「嘘でしょ……」