もしかしたらお弁当の受け渡しの時に触っちゃってたかもしれない。だとしたら私は彼に嫌な思いをさせていたのでは……?

 ……今日は日野くんのおうちに行くとき、彼に触らず絶対近付かないように気をつけないと。

 私はしっかりと男子たちの言葉を胸に留め、バスケの試合を眺めていた。





 終業式を終えた私は学校を出ていつもとは逆の道へ向かって歩いていく。

 帰っていく生徒たちから逃げるように裏の路地へと入ると、日野くんがスマホに目を向け壁にもたれかかるように立っていた。彼は私を見つけるとぱっとにこやかに笑う。

「五十嵐さん」

「ま、待たせちゃったかな」

「全然大丈夫だよ。じゃあ、行こう」

「う、うん」

 歩く日野くんの後をついて行く。