「じゃあ、私帰るね」
「うん、気を付けてね瑞香ちゃん」

 美耶ちゃんに手を振って、八百屋さんから離れる。私は、どこか胸のあたりがもやもやしていくのを感じながら商店街を後にしたのだった。







 商店街に向かった翌日私は部屋のカレンダーをじっと見つめていた。縁に描かれた絵は先月の紫陽花から変わり、向日葵が描かれている。明後日からは夏休みだ。

 休みの間は当然日野くんとは会えない。授業が無くて嬉しいはずなのに、どこか気が重い。明日は終業式で午前授業で、彼は何も言ってこなかったから、多分昼食も夕食も必要としていない……と思う。

 というか日野くん。夏休みが入ったら夕食と昼食、どうするんだろう。土日の食事は仕事があるから、マネージャーさんに買いに行ってもらってると言っていたけれど心配だ。なんとなく、この夏レパートリーを増やそうと揚げない揚げ物の練習をしたりはしているけど……。

「……でも、日野くんの、彼女……」

 変な思考を止める為に事実を呟くと、より胸がずしりと重たく感じた。いるかいないかは決まった訳じゃない。