でも、スムージーってどちらかといえば、普段の食事の足りない栄養素を補ったりが目的だからそもそも食事が出来てない彼にはどうなのだろう……。

 モデルをしている人はわりと量を食べない印象だったけど日野くんはよく食べる。

 すらっとしていて腕も足も細身だから、どこに入っていくのか疑問なくらいだ。自分のことを「燃費が最悪でさ、すぐお腹減るんだよ」と言っていたから、消化の速い液体と日野くんの相性には疑問が残る。

「あっそういえば瑞香ちゃん聞いてよ」

「ん?」

「珱介がさあ、雑誌のインタビューで理想の彼女像について語ってたんだけど、見てよこれ、好きなタイプのところ!」

 お客さんがいない時に読んでいたらしく、美耶ちゃんはお会計をする机の下から雑誌を取り出して広げた。ピンクや黄色など可愛い色味で統一されたページを読んでみると、『日野珱介の恋愛観』とポップ体で載っていて、下には一問一答形式で彼が答えている記事だった。

「好きなタイプは、世界で一番可愛い女の子です……だって! 珱介、絶対彼女いるよね? あの顔でいないわけないし。これ完全に雑誌使って惚気てるよね。ほら見てよここ、好きな人としたいことの所、何気ない食事だって。同棲してるみたいじゃない? 超羨ましいよねえ! 珱介夏にキスシーンの撮影あるらしいみたいなインタビューも載っててさあ、うわーとか思ってたんだけどこれ見てたらもう余計にうわーだよ!」

 美耶ちゃんは「本当にうわー!」と繰り返しながら雑誌をばさばさ閉じたり開いたりを繰り返す。