「ありがとう……」 凛と心に響くような日野くんの言葉が、じわじわと心に浸透するみたいに沈んでいく。彼は「美味しい」と言いながら煮物を頬張っていて、私の視線に気づく気配はない。 この表情、ずっと、ずっと見ていたいなぁ。 出来れば、なるべく、ずっと。 ぬるい風が窓から吹き抜けていく中、私はそんなあり得ないことを願ってしまうのだった。