こちらを見つめる日野くんは、妙に艶っぽくて心臓に悪い。手が震え、体温がどんどん上がっていくのを感じながら頷くと彼がさらに目を細める。

 昨晩、爽やかな笑顔で人気とテレビに出ていたはずの彼笑みは、どこか湿った雰囲気を感じた。

「嬉しい。俺も最近、撮影で使う食べ物とか料理見ると、五十嵐さんの顔が浮かぶから」

「私の顔?」

「うん。五十嵐さんの料理だったらな……って。五十嵐さんの料理、好きなんだよね。なんか力が抜けるって言うか、落ち着く」