「う、うん。覚えててくれたんだ……で、でも私……」
「バスに乗ってる間に、何かあるってこと絶対否定できないでしょ? 俺、一応一人で仕事してるわけじゃないんだよね。俺の自己管理ひとつで、撮影とかストップしちゃうし。ごめんね。みんなの期待裏切りたくないんだ」
「わ、分かった」
「じゃあ、教室で」
日野くんの足音が遠ざかっていく。目の前には、泣きそうな佐々木さんの横顔が見えた。前を通るのも気不味くて踵を返し階段を下りていくと、スマホが振動を始める。
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