「ごめん。事務所厳しくてさ。受け取れない」

 俯いて、じっと上履きを見つめていると、酷く冷たい日野くんの声が響いた。間髪入れずに佐々木さんの戸惑った声も聞こえてくる。

「でも、この間は受け取ってくれたじゃん」

「この前のは例外だよ。学校で買った材料で作ったものだし」

「わ、私が変なもの入れてると思ってるの……?」

「ううん。佐々木さんを疑ってるわけじゃないよ。その場で出来ていないものは口に入れないようにしているんだ。佐々木さんに悪気はなくても、佐々木さんが学校に運んでる最中に何かあるかもしれないでしょ? 確かバス通学だっけ? 佐々木さんは」