「前から思ってたんだよね。一回で使い切らないものとか、調味料とかは元々五十嵐さんの家であったやつを使ってる。調理だってそう。水を使わないわけがないよね? 調理する上でどこかを拭く紙代すら俺出してないんだよ? なのに俺は今日も五十嵐さんの作った料理を食べてる。善意だけじゃなく、物理的にも食い荒らしてる。俺は今払うべきお金を、のうのうと踏み倒してる状況だよね」

「えっ、そんな、違うよ。日野くんは踏み倒してなんていないよ。大丈夫だよ」

「そんなことないよ。泥棒だよ泥棒。今俺は五十嵐さんの生活費を盗んでる状態なんだよ。五十嵐さんが料理を好きな気持ちを勝手に消費してる害虫だよ」

「どっ泥棒とか、が、害虫とか、話が突飛すぎるよ、全然そんなこと思ってないし、お、落ち着いてよ日野くん。待ってよ」