「何で?」

「だって、私、食器選びしかしてないし……」

「食器選びしか、じゃないよ。五十嵐さんに似合うと思って買ったものだから、開けてみて? 俺このままこれ持ち帰っても、使えないし」

 私の為に、ということは私が受け取らないと無駄になってしまうのだろうか。

 恐る恐る包みを開くと、中に入っていたのは丸みを帯びた黒革のペンケースだった。チャックのところにはラインストーンが花の形にあしらわれていて、向きによって色を変えている。ステンドグラスみたいでとても綺麗だ。