日野くんはどこか不安げな表情をした。何かに怯えている表情だ。苦し気に辺りを見回した彼は言葉を続けることなく視線を落とした。なんだろう、何か言いたげだった気がする。

「日野くん?」

「ううん、何でもないよ。それよりあっちの道具のコーナーの相談ものって」

「わ、分かった」

 ぱっと顔色を変えた日野くんは調理道具のコーナーへ向かっていく。話を逸らされた……?