それにしても本当にいろんな色のコップがある。見惚れるように眺めていると、彼は「なんかこうして一緒に食器見てると、一緒に住むみたいだね」と悪戯をする子供みたいに笑った。
「えっ」
「はは、五十嵐さんさっきから、えっ、ばっかりだ」
くすくす笑う日野くんに、揶揄われたのだと瞬時に理解した。戸惑ってしまったのが恥ずかしくて、私は誤魔化すために俯いた。
「ご、ごめん驚いちゃって、冗談だよね、ごめん」
「本気だけどね。五十嵐さんが家に来れば、毎日三食五十嵐さんの作ったものが食べられる……そんないいことないよ。それに俺、四月に入って……」