帰りに本屋さんに寄って栄養の本を買うことを決め、周りを見て今日どこへ行くのか全く分かっていないことに気が付いた。ショッピングモールの前で待ち合わせをしたけど、もう随分と離れている気がする。大通りからも離れて、人気のない路地の道を私は日野くんと歩いていた。

「あのさ、日野くん。そういえばお買い物のお手伝いって何をすればいいの?荷物持ちなら普段大根とか南瓜とか、お米で鍛えてるから大丈夫だけど……」

「はは、五十嵐さんに重たいものなんて持たせないよ。今日は雑貨屋に行きたくて、ほらここ」

 そう言う彼は傘を畳んだ。周りを見るとすでに屋根があって私も慌てて傘を畳む。目の前に建っていたのは海外のブランドを取り扱ったセレクトショップだった。