画面を確認すると、今日は仕事へ行くためお昼を食べて早退した日野くんの名前が表示されていて、私は目を見開いた。慌てて下駄箱の隅へと向かい、誰かに聞こえないよう音量を落として電話に出る。

「もしもし……?」

「あ、俺だけど。突然かけちゃってごめんね。今どこにいる? 学校?」

「うん、丁度今から帰るとこ」

「そっか。ねえ。急で申し訳ないんだけど今日時間ある? 実はちょっと買い物に付き合ってほしくて、五十嵐さんいないと駄目でさ……」

「え、う、うん、大丈夫、だよ?」

「ありがとう。じゃあさ、駅前のショッピングモールの時計台前に来てくれないかな」

 学校の前には、駅に向かうバスの停留所がある。皆そこを使うから時刻表は校舎内のいたるところに張り出されていて、そばにあった張り紙を見つけるともうすぐ出発の時刻になっていた。


「分かった。バスすぐ来そうだからもう行くね」