ああ! じゃがいももアスパラもすごくおいしそう。早く帰って食べたい……!

「瑞香ちゃんだあ!」

 まだ少し泥のついたじゃがいもを蒸して皮を剝き、マヨネーズと和え具材を加えポテトサラダにする算段を立てていると八百屋のおじさんの娘さん--さらさらとポニーテールを揺らした美耶《みや》ちゃんが走って来た。

「わ、美耶ちゃん久しぶり、会えてうれしいよ」

 美耶ちゃんは今年中学生で、買い物に来て顔を会わせる度にお話をする。ハイタッチをしていると、彼女は不意に私が下げていたビニール袋に視線を向けた。

「あっまたレシピ本買ったの? 瑞香ちゃんはお料理好きだねえ」
「うん、でも今回は雑誌だよ、ほら」

 そう言って袋の中身を取り出し美耶ちゃんに見せる。今回はファッション誌に料理特集の小冊子が付録としてついてくるタイプだ。