そうこうしているうちに本番になってしまった。
体育館に全校が集まる。久々の集会だった。今回の主役は私たち6年生なので司会は五年生がやってくれることになっている。
「それでは、一年生から順に発表をお願いします。」
元気一杯の一年生は、代表者が一人ずつ感謝を言葉で伝えてくれた。「お兄さん、お姉さん、有難うございました!」そう言うのは、毎年恒例の言葉ではあったものの、微妙に毎年違う内容は心がくすぐられた。
そういえば、私も一度だけ怪我した一年生を保健室へ連れて行ったことがあった。コミュ力にかける私は先生を待っている間に話題がなく沈黙を作ってしまって困ったことを覚えている。でも、その子を連れて行った後その子のお姉ちゃんと保健室の先生にお礼を言われたことは想像以上に嬉しかった。それは、私にとっての思い出だ。
その子にも、そんな思い出が少しだけでも残っていていくれたらと思う。そんな矢先に自分も一年生の頃、当時の6年生に優しくしてもらったことを思い出した。不登校気味で久々に自分から登校した日だった。私の学校では、六年生から掃除を教えてもらうという期間があり、そこで優しくしてくれた女の子がいたのだ。
約五年前の記憶がまだうっすら残っていると言うことは私が保健室に連れて行った子も、自分が六年生になった時覚えていてくれるだろう。そう思うと心がスッキリした。
その後、二年生から四年生は鍵盤ハーモニカやタンブリン、鈴などを使った演奏だった。三学年同じような楽器を使っていてもレベルが全然違っていて、まだ子供ながらに早く成長していくことは感じた。
五年生は、私たちと同じく合唱だった。合唱は特に力を入れる先生が多く何回も怒られながら練習したんだろうなと思った。自分たちもそうだったから。
その所為で嫌いになった子も少なくないと思うが合唱を聞いて案外悪くないかもなと思った。
次は私たちの番なのでそろそろ準備した方がいいかと周りを見渡すと、みんなすごく真剣に聞いていた。私を見るまで気が付かなかったということは私も相当見入っていたのだろう。やっぱり自分がするのとされるのは訳が違った。
結局誰かがみんなに小声で声をかけるまでみんなは完全に見入っていた。
そして、ついに本番が始まる______!
「では、最後に六年生の皆さんお願いします。」
アナウンスと同時に移動する。
大丈夫、練習通りに弾けば。
みんなが並び終わり、指揮者と私は全校に向かって礼をする。そして、緊張で手が震えているのは見ないふりをして鍵盤を見る。
あれ?最初の和音どう撮るんだっけ……なんと、最初の音をど忘れしてしまったのである。本番のため楽譜は置いていないしみんなと指揮者は遅くないかと思っているのが分かるくらいの雰囲気だった。その他全校は、私たちの合唱をいまかいまかと待っている。
早く思い出さないと、と焦る。むりくり脳みその中をかき回すようにしてなんとか思い出し、演奏は終わった。
問題があったのは、初めだけでそのあとは問題あく終わった。今はそのことに安堵している。
体育館は拍手で埋まり、暖かい空気が行き渡っていた。
「華ちゃんよかったよー!」
「うん、最高だった!」
「無事終わってよかったね。」
集会が終わったあと、私はたくさんの人からそう言われた。やり切れてよかったという言葉に、今は尽きる。小学生生活最後のこの曲。できる限りは覚えておこうと思った。
体育館に全校が集まる。久々の集会だった。今回の主役は私たち6年生なので司会は五年生がやってくれることになっている。
「それでは、一年生から順に発表をお願いします。」
元気一杯の一年生は、代表者が一人ずつ感謝を言葉で伝えてくれた。「お兄さん、お姉さん、有難うございました!」そう言うのは、毎年恒例の言葉ではあったものの、微妙に毎年違う内容は心がくすぐられた。
そういえば、私も一度だけ怪我した一年生を保健室へ連れて行ったことがあった。コミュ力にかける私は先生を待っている間に話題がなく沈黙を作ってしまって困ったことを覚えている。でも、その子を連れて行った後その子のお姉ちゃんと保健室の先生にお礼を言われたことは想像以上に嬉しかった。それは、私にとっての思い出だ。
その子にも、そんな思い出が少しだけでも残っていていくれたらと思う。そんな矢先に自分も一年生の頃、当時の6年生に優しくしてもらったことを思い出した。不登校気味で久々に自分から登校した日だった。私の学校では、六年生から掃除を教えてもらうという期間があり、そこで優しくしてくれた女の子がいたのだ。
約五年前の記憶がまだうっすら残っていると言うことは私が保健室に連れて行った子も、自分が六年生になった時覚えていてくれるだろう。そう思うと心がスッキリした。
その後、二年生から四年生は鍵盤ハーモニカやタンブリン、鈴などを使った演奏だった。三学年同じような楽器を使っていてもレベルが全然違っていて、まだ子供ながらに早く成長していくことは感じた。
五年生は、私たちと同じく合唱だった。合唱は特に力を入れる先生が多く何回も怒られながら練習したんだろうなと思った。自分たちもそうだったから。
その所為で嫌いになった子も少なくないと思うが合唱を聞いて案外悪くないかもなと思った。
次は私たちの番なのでそろそろ準備した方がいいかと周りを見渡すと、みんなすごく真剣に聞いていた。私を見るまで気が付かなかったということは私も相当見入っていたのだろう。やっぱり自分がするのとされるのは訳が違った。
結局誰かがみんなに小声で声をかけるまでみんなは完全に見入っていた。
そして、ついに本番が始まる______!
「では、最後に六年生の皆さんお願いします。」
アナウンスと同時に移動する。
大丈夫、練習通りに弾けば。
みんなが並び終わり、指揮者と私は全校に向かって礼をする。そして、緊張で手が震えているのは見ないふりをして鍵盤を見る。
あれ?最初の和音どう撮るんだっけ……なんと、最初の音をど忘れしてしまったのである。本番のため楽譜は置いていないしみんなと指揮者は遅くないかと思っているのが分かるくらいの雰囲気だった。その他全校は、私たちの合唱をいまかいまかと待っている。
早く思い出さないと、と焦る。むりくり脳みその中をかき回すようにしてなんとか思い出し、演奏は終わった。
問題があったのは、初めだけでそのあとは問題あく終わった。今はそのことに安堵している。
体育館は拍手で埋まり、暖かい空気が行き渡っていた。
「華ちゃんよかったよー!」
「うん、最高だった!」
「無事終わってよかったね。」
集会が終わったあと、私はたくさんの人からそう言われた。やり切れてよかったという言葉に、今は尽きる。小学生生活最後のこの曲。できる限りは覚えておこうと思った。



