2回目の出会えた奇跡というものは

そのまた翌日になると、先生は無事この教室に戻ってきた。
その様子は無理をしているか疑うまでもないくらいに悪かった。なんて演技が下手なんだ。あまりにも鈍感なお調子者の男子たちは比べ物にならないくらいのハイテンションで先生を迎えていた。
「先生が居なかった間めっちゃ寂しかったんですけど!」
「ね。マジ先生神だと思った。」
流石に言い過ぎだとは思ったが、クラスの雰囲気はいつも通りに戻って安心した。
だが、先程の安心はすぐに撤回されることとなる。
「実はさ、俺…ヘルニアになっちゃった。」
えーーーー!クラス中の心配の声と笑い声が混じる。
やっぱりあの下手な先生の演技は、本気で具合が悪かったからあんな演技だったんだ。あそこでもっと見ておくべきだった。少し後悔。
何が原因だろう。歩きすぎ?はしゃぎすぎ?よく分からない。
何が原因でも、暫くははしゃげないと思う。ドッチボールは、どうなるんだろう。いつからかそんなことを気にする様になってきた。なんでだろう。
そのくらい、六の一の生活は私にとって大切なものになってきているなんてあまり思いたくなかった。


その日の授業は、先生の腰を気にしながらもなんとか受けられてよかったと安堵した。早く治ってほしいと本気で思った。蘭々ちゃんたちは直接先生に声をかけていたが、私の性格上それは論外だと判断したために、自学ノートにメッセージを書くことにした。『先生、腰は大丈夫ですか?無理しないでください』と。
そのノートが返ってきて、急いで中を確認した。『ありがとう。バキバキだけど笑』と書かれていたのを見て、胸が躍ったのを覚えている。