桜の開花が早まりもう散り始めた4月。
真っ白な雲と淡い青色をした空、そして薄い桃色をした桜が舞うこの景色に古びた校舎が似合うのは何故だろう。
周りから聞こえるガヤガヤとした声が私の気持ちを憂鬱にさせる。
別に学校が大嫌いな訳じゃない。でもこのシーズンは不安でいっぱいだった。小学生生活最後の一年。何かと緊張が高まる。やっぱり落ち着かなかった。
「華花、私とクラス違うわー。まじ最悪」
そう言ってこちらへ向かって来るのは一年生の頃からの友達の静葉だ。どうやら私が来るより先にクラス表を見に行ったらしい。
「あっ、ごめん。華花以外一緒だ。」
「え、マジ?」
静葉が言う『以外』とはいわゆる友達四人組の残り二人、結月と寧々香だ。今年から三クラスだったのが二クラスに変わり運悪く私は三人と離れたようだ。
最悪。ちなみに私には友達がこの四人以外に居ない。
完全に五年間で固まった他のグループには当然入れるわけもなく孤立生活が始まる。
しかしまぁいいや、と思う自分が居た。
別に虐められる訳では無い。そう思えば少し気分も楽になった。
生徒一人が意見を口にしたところで何も変わらない。最後の一年を悔いなく過ごす。これが私の目標だ。
重いランドセルを背負いのそのそと教室へ向かった。