2回目の出会えた奇跡というものは

「よーし。書くか!」
出来れば、誰も帰ってこないうちに今日の分を終わらせたい。
アイスのゴミを捨てながら、そんなことを思う。チョコレートアイスも美味しかった。

物語は、少女と少年の切ない話だ。
交通事故によって記憶喪失になってしまうという残酷かつ面白いと思える様に超初心者ながら書いている。
自学で物語を書くというのも、あの国語の授業で褒められなければ絶対に書くことは無かっただろう。
でもどうしよう…書き方が分からない。
取り敢えず書いてみようか。
十分程書き進めて鉛筆を置く。
んー。いまいちだな。

文章はやっとノート一ページ進んだところだったので読み返してみることにした。

うわっ。読みにく…
予想以上に酷かった。
文章はダラダラしてて読みにくいし、
設定は雑で所々矛盾箇所があるし、
何を伝えたいか全然分からない。
でも、一回書いたからには辞める訳には行かない。
それにもっと先生だって褒めてくれるかもしれないし。
前向きに考えよう。
よし!ネットに頼る!こういう時にはネットが一番だ!
スマホで『小説の書き方』とググッてみる。
どれがいいのか分からなくて一番上のサイトをとりあえずタップしてみる。
「…へぇー」
一人称と三人称、それに人物設定のためのプロットなんてものがあるなんて知りもしなかった。
やっぱりネットは優秀で、小説を書くにあたって必要な事が沢山書いてあった。
でも、その中で私が知ってるものなんてひとつも無かった。
やっぱ難しそう…
括弧が四つ以上続くと会話がダラダラと続いて読みにくいとか、そんな事も考えたことすらなかった。
確かにと思って自分の文章を見返してみると、
括弧が五つも続いている箇所があった。
うわぁ、直すの大変だ。

でも、空想の世界でいられるのが楽だった。