「勘違いしてごめんね」と謝る菜月に、そんなのお構いなしにぎゅーと抱きつく。


離れていても想ってくれる親友がいる。信じてくれる友達がいる。



当たり前じゃない日々だからこそ、大切な人たちに大切だってちゃんと伝えよう。



「菜月、大好きぃ…っ」


「あははっ、ちょっと泣かないでよ涼花ー」



後悔を残さないように。


思っていることをちゃんと伝えられる人になりたいと、そう思った。



「じゃあ高峰くんとはなんもないんだ。一緒にいて好きになったりしないの?」


「な…っ、なんないよ!高峰くんは菜月みたいにはっきりとした女の子の方が似合うと思うし…」



ちくりとなぜか胸が痛んだ気がして、ふと首を傾げる。


…なんだろう、今の。



私がこの胸の痛みを知るのはもう少し先だと、この時の私は知る由もなかった。