「私…ちょっとだけど霊が見えるの。高峰くんは代々霊感のある家族で、悪霊を祓ったり未練解消中の霊を手助けしたりしているんだって」



高峰くんには菜月にだけ話すことについてあらかじめ了承を得ている。



「高峰くんが六歳の男の子、蒼くんの未練を解消してあげるために、私の妹、晴香って言うんだけど。晴香が関わっているみたいで、それで協力して欲しいって頼まれたの。私も少しだけなら霊が見えるから。最初は成り行きでいいよって言っちゃったんだけど、だんだん蒼くんの力になってあげたいって思うようになって自分から最後まで手伝うって決めたの。高峰くんと朝一緒に来たのは、蒼くんのところに寄った時にたまたま会ったからで、ハンバーガー屋にいたのは無事蒼くんが成仏できたからそのお礼ってことで奢ってもらってただけなの」



菜月のじっと睨みつけるような視線に耐えられなくなり、思わず逸らそうとした時だった。


ずっと黙っていた菜月の口が動いたのは。



「…意味がわからない。そんなの信じられるわけないでしょ」



…やっぱり、ダメだった。


私だってもしも逆の立場だったとしたら、こんな話そう簡単に信じられるわけがない。