「…有紗、なんだよね?お願い、もうやめて。私、まだ有紗に伝えてないことあるよ。悪者になんてならないで、戻ってきて有紗!」



黒い影が一つにまとまったかと思うと、私に向かってぶわっと一斉に覆い被さってきた。



「この世から消え去れ!」



高峰くんの声が聞こえてきたかと思うと、ぱっと白い光で視界がいっぱいになり思わず目を閉じる。



「う、動ける…」


「なんだったんだろ…」



パニックになっていた人たちが、力が抜けたようにその場に座り込んでいた。


真っ直ぐこちらに向かってきていたトラックも、寸前のところで止まっていた。



「…有紗」



私の前には、あの日から何も変わっていない姿の有紗が優しく微笑んで立っていた。