「いや、もう大丈夫なのか?」


「うん…。ここね、私が昔に住んでた街なんだ。お母さんと政弥のお父さんが再婚する前に。この街には…もう二度と来たくなかった。私のせいで…親友が死んじゃったから」


「親友…?」



小さく呟いた高峰くんがバッと何かを感じたように、勢いよく振り向いた。



「高峰くん…?」


「…悪霊だ。悪霊の気を感じる。それも、ものすごく強い…」


「え?」



高峰くんが走り出してしまい、私も慌てて後を追いかける。


さっきまで立つことすらままならなかったのに、不思議と何かに導かれているかのように足が動いていた。



「…いた、あいつだ」