「もしもし?鈴宮涼花?」


「あ、えっと…」


「どうかしたか?」



乱れていた呼吸がなぜか高峰くんの声を聞いただけで少し落ち着いてきた。



「あの、ね…寝過ごして終点まで来ちゃったんだけど、お金足りないから帰れなくて…」


「今、どこにいる?」



高峰くんに駅の名前を伝えると「わかった」と電話は切れた。


…来てくれるのかな。



一気に安心感が体に広がり、なんとか立ち上がって駅のベンチに腰掛ける。


気持ちを落ち着かせようと目を閉じると、懐かしい記憶がフラッシュバックしてきた。