「ねぇね、帰ろー!」



曇りなき満面の笑顔で抱きついてきた晴香の頭を、そっと撫でてあげる。



「…今はまだ、言わないでください。こっちでタイミングを見て言えそうだったら言うので」


「ええ…、ごめんね涼花ちゃん。助かるわ」



先生にぺこりと会釈をして、きょとんと首を傾げている晴香と手を繋いで保育園を出る。



「ただいまー!」


「ただいま」



靴を乱暴に脱ぎ捨て、リビングに走っていく晴香を慌てて追いかける。



「あら、晴香おかえり。保育園楽しかった?」


「うん!ねえテレビつけて!」


「晴香、その前に手洗うよ」