「で、でも!昨日みたいな影が見えたこと、今まで一度もなかったし、あれからも見てない…よ?」


「一部しか見えないってことか…?どういうことだ…」



一人でブツブツと呟いている高峰くんに、「あの…」と声をかける。



「さっきから霊が見える、とか言ってたけど、くわしく教えてくれない?昨日はからかわれてるのかと思ったけど、そうじゃないみたいだし…」


「ああ。人は死んだら、49日間だけ幽霊となってこの世に戻って未練を解消しなきゃいけないんだ」


「未練…?」


「死ぬ瞬間に強く思った願いとか、そういうもの。だけど、未練が解消できなかった霊は悪霊となって俺たち人間に危害を与えてくる。だから俺は幽霊の未練解消の手伝いをしたり、悪い霊を祓ったりしているんだ。俺の家系は代々生まれつき霊感があるからな。そういうことができるんだ」


なんて返せばいいのかわからず、とりあえず曖昧に頷く。


…もしかして昨日の、部活に入らないで他にすることがある、って言っていたのはこれだったのかな?



「…ねぇ、もしかしてあれも幽霊?」