「はいはい。幸せそうでよかったでーす」



えへへと幸せそうに笑う鳴ちゃんの頬を、菜月がびょーんと引っ張っている。


鳴ちゃんと新山くんは、中学の頃から両片想いをしていたらしく、昨日遊んだことをきっかけに付き合い出したらしい。



「…あ、机の上にスマホ置いてきちゃった」



次は移動教室なので、三人で廊下に出た瞬間にふと気づく。



「取ってきなよ。スマホは大事」


「うん、ごめんね。先、二人で行ってて」



はーい、と仲良く返事をされ、少し笑ってしまう。


教室に残っている生徒はちらほらといたが、私を気にすることなく、話に盛り上がっている。


「鈴宮…涼花」