晴香が渡ると同時に、横断歩道の信号がピコピコと点滅し始めた。



「わっ…!」



つまずいてしまった晴香が派手に転ぶ。



「晴香…!危ない…!」



大きなトラックが小さな晴香に気づいていないのか、どんどんと近づいてくる。


晴香を助けなきゃ、と頭ではわかっているのに、体が震えて足が動かない。



「おまえはここにいろ!」



え、と思う前に素早く高峰くんが走り出した。


泣いている晴香をかついで、目にも止まらぬ速さで戻ってきた高峰くんから晴香を受け取る。


さっきまで晴香がいた場所を、何事もなかったかのようにトラックが走り去っていった。