「あの、菜月」



高峰くんと楽しそうに話している菜月に申し訳ないなと思いながらも、そっと声をかける。



「んー？」


「妹のお迎え頼まれたから、私もう帰るね」


「えー残念。まあしょうがないか…。政弥くん待たなくていいの？今トイレ行ってると思うけど」


「政弥はまだ遊んでていいよ、って伝えといてくれないかな。付き合わせるのかわいそうだしさ。じゃあまた明日ね」



何かを言いたそうにじっと見つめてくる高峰くんを見ないようにしながら、鞄を持って立ち上がる。



「あれー。涼花ちゃん、帰るのー？」


「うん。また遊ぼうね、鳴ちゃん」


「鈴宮さん、またなー」



あまり話せなかったけど、人懐っこい笑顔で手を振ってくれた新山くんに笑顔を浮かべて私も手を振り返す。