そのドラマを私は見ていないから話には入らず、ぼんやりと窓の外を眺める。



…ふと、横断歩道のそばで何か黒いものが揺れ動いているのが見えた。


あれは…なんだろう?影?


首を傾げながらじっと目を凝らしていると、ふとポケットに入れていたスマホが震えた。


確認すると、お母さんからのメッセージで「晴香のお迎えを頼む」ということだった。



私の本当のお父さんは、私が小学三年生の時に、新しい好きな人ができた、と言って出ていった。


政弥と晴香の本当のお母さんは、五年前に交通事故で亡くなったそうだ。


私のお母さんと政弥のお父さんは同じ会社で働いていて、お互いを慰め合っているうちにだんだんと惹かれたらしく、再婚はすぐに決まった。


新しいお父さんは本当にいい人で、よくお母さんに怒られている私を政弥のようにいつも助けてくれる。


だから私も血が繋がっていなくても、本当の家族のように大切に思っている。



…だけど、時々全部が苦しくなる時がある。