「涼花さぁ…いつも言われっぱなしじゃなくて、少しは言い返したらどうなの?見ててムカつく」


「ご、ごめ…」


「涼花には涼花の事情があんだろ」



私を守るかのように前に立った、同い年の弟、政弥(まさや)が、沙絵お姉ちゃんを睨む。



「はぁ?政弥には関係ないでしょ。あー朝から気分悪い。うっざー」


「うるせぇよ、ブス。はげるぞ」


「はぁ!?ふざけんじゃないわよ!殴んないとわかんない!?」


「あんたたち、何してんの!早く朝ごはん食べなさい!」



二人は、お母さんが来ると睨み合うのをやめ、渋々と席に着いた。


私のせいで二人が喧嘩をしていたとは知らないお母さんは、四歳の妹、晴香(はるか)の着替えを手伝いに居間に行ってしまった。



どうして私は…思ったことを素直に伝えられないんだろう…。