丸裸にされるんだよねぇん。
ハジメは、カメラマンと
雪を被る
真っ白な由布岳を 目の前に
2人だけの
大露天風呂に浸かる。
♪~♪~~~♪♪~♪~~~
「ペーハ?それってぇ、
もしかして アルプスの女の子が
出て来るアニメの~歌かなぁん」
ハジメの隣で、
露天の雪景色の庭木で、
囀ずる鳥と
ハモる様に 鼻歌を鳴らす
カメラマンが、
「当たり、ですよ。ハジメさん」
ハジメに、答えた。
「ボクがペーハって呼ぶのがぁ
よっぽど嫌なんだねぇ~。」
「おかしいです。ペーハって。
、、説明、
する身に、なってください。」
ハジメは 隣で 顔近くまで
湯に浸かる
カメラマンの方を
黙って見つめる。
目線が下がるとより、
自然の中にいる気分になれると、
隣に言われて、ハジメも
顔近くまで 湯に浸かってみる。
「 ふごぁ、フォトグラファ~
略称 PH 、でぇ、ペーハ~。
うん~、そんなに難しくないぃ
よねぇうごぉ~ブクブク?」
「口、湯に、近すぎです。」
「あぁっついぃぃよぉ~!」
ハジメは、上半身を湯船から
勢いよく 上げると、
そこから 両手をかくポーズ。
平泳ぎを真似て 湯の中を
大きくくーるーりと移動した。
修学旅行も受け入れると
いうだけあって、
展望台露天風呂は100帖と
広大だ。
その上、目の前には由布岳が
聳え立つ大パノラマ。
雪を被って、周りの木々にも
雪が積んでいるが
今朝は 晴れて霧もない。
白い雪に青い朝空の
コントラストが格別で、
天空の風呂みたいだと、
ハジメは 湯けむりも楽しい。
「 チェックアウト、したら
別府です、、いいですかー」
広い露天風呂の向こうから
カメラマンが 上半身を
上げてハジメに叫ぶ。
昨夜、宿に着いて
食事もそこそこに 就寝した
ハジメ達は、
この朝風呂の後には
すぐ宿を出る予定なのだ。
「もちろんっ~。ペーハが
夏に言ってたぁ、幻の島の痕跡
見てぇ、想像するのもぉ、
九州にきた理由の1つだから~」
あぁ、ペーハの恋バナがぁ
まだだから~、
ドライブがてらぁ、それも~。
ハジメが上機嫌で、
カメラマンの前に泳いで 戻って
きた。
風呂の中ほどにある
天然岩に、手をつきながら
カメラマンは
「ドライブ、、お互い、車
乗ってきたんで、、ムリですね」
ハジメに答えた。
改めて見ると、
目の前の男は、いかにも男闘呼な
身体つきをしている。
「ペーハさぁ、ムキムキだねぇ」
「取材で、色々機材、担ぐとこう
なりますけど、それほどでも、」
なんだよ~、それぇ。
あぁ~嫌ぁ。絶対ぃジムいくぅ。
も~ちょっと時間欲しいぃ。
自分との身体を見比べて、
ハジメは バタバタと
湯船を叩いて、カメラマンに
湯を飛ばした。
このカメラマンに取り繕っても
仕方ないとハジメは
いつもよりも素になる。
「 寡黙でぇ、いい身体してぇ
才能もあるのにぃ、恋までして
ズルいよぉ、ペーハはぁ!!」
ハジメの言葉に
眉毛をハの字にして、
顔を赤くしたのは 逆上せてじゃ
ない事ぐらい
ハジメにも わかる。
はいはい~、恋する男闘呼~。
このカメラマンのファインダーは
被写体の真実を映す
モデルが思っている以上に
その奥底を 映し出す
ファインダー・アイは
容赦がない
心を、丸裸にされる
だから、
「映し出されるぅ 初な感情を~
ドラマチックにぃ写真にするぅ
そんな才能~卑怯だぁ~。」
ボクあ~!!
ドでかい露天風呂の真ん中でぇ
叫んでやるぅ~~~~~!!
ついでに、ハジメは
カメラマンに またお湯を
掛け飛ばした。
「バっつ!!や!ハジメ、さ、」
バシャッ!バシャッ!!
カメラマンの前髪が
湯に濡らされてグスグスに
額に張り付いて、
湯が垂れる。
「爆発しぃ~ろぉ~、わ、わ、」
腕を振り回し過ぎて
ハジメが バランスを崩し
そのまま 湯船にひっくり返って
仰向けに浮かんだ。
「あの、、大丈夫、ですか。」
おずおずと 聞くカメラマン。
相手の心配なんて他所に、
ハジメは、、、。
♪~♪~~~♪♪~♪~~~
湯に浮かんで 空を見たまま、
さっき聞いた曲を
今度は ハジメが 鼻歌にする。
由布岳に
まるで湯煙みたいな雲が
かかり 降りてきた。
包まれる暖かい温度と、
年初め朝の外気に
顔だけさらされる 心地よさが
ハジメを通常運転に
戻していく。
「 被写体の気持ちをさぁ、
どんなにぃ、映し出せてもさぁ
ペーハの気持ちをさぁ
相手に伝えられないのじゃぁ
今のペーハには意味がないん
だよねん~。人の子だねぇ~」
今、大の字に浮かんでいるのは
ギャラリスト探偵に変化した
ハジメだと、気が付いた
カメラマンは、
「 ハジメさん、、彼女の作品を
被写体にって。それは、、」
ハジメを上から覗き込んで
聞いた。
その返事に、ハジメは
トプンと湯船に沈んで 起きつつ
顔を両手で拭う。
「 ペーハはぁ、静物は撮った事
今まで1度もないよねぇ?」
手から出てきたハジメの顔は、
意外に真面目で、
「 とても興味があるんだよぉ、
ペーハのファインダーアイがぁ
彼女の形をした人形からぁ、
映し出すモノがぁ、何かって」
まっすぐに
カメラマンの困惑する瞳を
捕らえた。
君はぁ、
君の構えるレンズはぁ
無色透明だからぁ、
目の前のそのままの現象を
映しとるのだけどぉ、
もし、もしだよぉ。
君の構えるカメラに
感情がぁ乗るとぉ、そこに
いつもとは
感情のない静物とぉ どんな
効果を生み出すかぁ、
実証してみたいんだよぉ。
「大丈夫~、
君のファインダーの目は、
君の口よりきっとぉ、
おしゃべりだと思うんだぁ~。」
そう、
ハジメに改めて告げられる
本人は、ますます分からないと
表情にしているが、
ハジメは気にしていない。
「まあ~、まずはぁ、今ペーハが
取材しているぅ 幻の島にぃ、
ボクを案内してよぉ。いい?」
じゃあぁ、そろそろ
上がろうかなぁ~と、ハジメは
カメラマンの 硬い肩を
パンと、叩くと
その音に 驚いて、庭木の鳥が
歌を止めて
枝の雪を バサッと 落とした。
ハジメは、カメラマンと
雪を被る
真っ白な由布岳を 目の前に
2人だけの
大露天風呂に浸かる。
♪~♪~~~♪♪~♪~~~
「ペーハ?それってぇ、
もしかして アルプスの女の子が
出て来るアニメの~歌かなぁん」
ハジメの隣で、
露天の雪景色の庭木で、
囀ずる鳥と
ハモる様に 鼻歌を鳴らす
カメラマンが、
「当たり、ですよ。ハジメさん」
ハジメに、答えた。
「ボクがペーハって呼ぶのがぁ
よっぽど嫌なんだねぇ~。」
「おかしいです。ペーハって。
、、説明、
する身に、なってください。」
ハジメは 隣で 顔近くまで
湯に浸かる
カメラマンの方を
黙って見つめる。
目線が下がるとより、
自然の中にいる気分になれると、
隣に言われて、ハジメも
顔近くまで 湯に浸かってみる。
「 ふごぁ、フォトグラファ~
略称 PH 、でぇ、ペーハ~。
うん~、そんなに難しくないぃ
よねぇうごぉ~ブクブク?」
「口、湯に、近すぎです。」
「あぁっついぃぃよぉ~!」
ハジメは、上半身を湯船から
勢いよく 上げると、
そこから 両手をかくポーズ。
平泳ぎを真似て 湯の中を
大きくくーるーりと移動した。
修学旅行も受け入れると
いうだけあって、
展望台露天風呂は100帖と
広大だ。
その上、目の前には由布岳が
聳え立つ大パノラマ。
雪を被って、周りの木々にも
雪が積んでいるが
今朝は 晴れて霧もない。
白い雪に青い朝空の
コントラストが格別で、
天空の風呂みたいだと、
ハジメは 湯けむりも楽しい。
「 チェックアウト、したら
別府です、、いいですかー」
広い露天風呂の向こうから
カメラマンが 上半身を
上げてハジメに叫ぶ。
昨夜、宿に着いて
食事もそこそこに 就寝した
ハジメ達は、
この朝風呂の後には
すぐ宿を出る予定なのだ。
「もちろんっ~。ペーハが
夏に言ってたぁ、幻の島の痕跡
見てぇ、想像するのもぉ、
九州にきた理由の1つだから~」
あぁ、ペーハの恋バナがぁ
まだだから~、
ドライブがてらぁ、それも~。
ハジメが上機嫌で、
カメラマンの前に泳いで 戻って
きた。
風呂の中ほどにある
天然岩に、手をつきながら
カメラマンは
「ドライブ、、お互い、車
乗ってきたんで、、ムリですね」
ハジメに答えた。
改めて見ると、
目の前の男は、いかにも男闘呼な
身体つきをしている。
「ペーハさぁ、ムキムキだねぇ」
「取材で、色々機材、担ぐとこう
なりますけど、それほどでも、」
なんだよ~、それぇ。
あぁ~嫌ぁ。絶対ぃジムいくぅ。
も~ちょっと時間欲しいぃ。
自分との身体を見比べて、
ハジメは バタバタと
湯船を叩いて、カメラマンに
湯を飛ばした。
このカメラマンに取り繕っても
仕方ないとハジメは
いつもよりも素になる。
「 寡黙でぇ、いい身体してぇ
才能もあるのにぃ、恋までして
ズルいよぉ、ペーハはぁ!!」
ハジメの言葉に
眉毛をハの字にして、
顔を赤くしたのは 逆上せてじゃ
ない事ぐらい
ハジメにも わかる。
はいはい~、恋する男闘呼~。
このカメラマンのファインダーは
被写体の真実を映す
モデルが思っている以上に
その奥底を 映し出す
ファインダー・アイは
容赦がない
心を、丸裸にされる
だから、
「映し出されるぅ 初な感情を~
ドラマチックにぃ写真にするぅ
そんな才能~卑怯だぁ~。」
ボクあ~!!
ドでかい露天風呂の真ん中でぇ
叫んでやるぅ~~~~~!!
ついでに、ハジメは
カメラマンに またお湯を
掛け飛ばした。
「バっつ!!や!ハジメ、さ、」
バシャッ!バシャッ!!
カメラマンの前髪が
湯に濡らされてグスグスに
額に張り付いて、
湯が垂れる。
「爆発しぃ~ろぉ~、わ、わ、」
腕を振り回し過ぎて
ハジメが バランスを崩し
そのまま 湯船にひっくり返って
仰向けに浮かんだ。
「あの、、大丈夫、ですか。」
おずおずと 聞くカメラマン。
相手の心配なんて他所に、
ハジメは、、、。
♪~♪~~~♪♪~♪~~~
湯に浮かんで 空を見たまま、
さっき聞いた曲を
今度は ハジメが 鼻歌にする。
由布岳に
まるで湯煙みたいな雲が
かかり 降りてきた。
包まれる暖かい温度と、
年初め朝の外気に
顔だけさらされる 心地よさが
ハジメを通常運転に
戻していく。
「 被写体の気持ちをさぁ、
どんなにぃ、映し出せてもさぁ
ペーハの気持ちをさぁ
相手に伝えられないのじゃぁ
今のペーハには意味がないん
だよねん~。人の子だねぇ~」
今、大の字に浮かんでいるのは
ギャラリスト探偵に変化した
ハジメだと、気が付いた
カメラマンは、
「 ハジメさん、、彼女の作品を
被写体にって。それは、、」
ハジメを上から覗き込んで
聞いた。
その返事に、ハジメは
トプンと湯船に沈んで 起きつつ
顔を両手で拭う。
「 ペーハはぁ、静物は撮った事
今まで1度もないよねぇ?」
手から出てきたハジメの顔は、
意外に真面目で、
「 とても興味があるんだよぉ、
ペーハのファインダーアイがぁ
彼女の形をした人形からぁ、
映し出すモノがぁ、何かって」
まっすぐに
カメラマンの困惑する瞳を
捕らえた。
君はぁ、
君の構えるレンズはぁ
無色透明だからぁ、
目の前のそのままの現象を
映しとるのだけどぉ、
もし、もしだよぉ。
君の構えるカメラに
感情がぁ乗るとぉ、そこに
いつもとは
感情のない静物とぉ どんな
効果を生み出すかぁ、
実証してみたいんだよぉ。
「大丈夫~、
君のファインダーの目は、
君の口よりきっとぉ、
おしゃべりだと思うんだぁ~。」
そう、
ハジメに改めて告げられる
本人は、ますます分からないと
表情にしているが、
ハジメは気にしていない。
「まあ~、まずはぁ、今ペーハが
取材しているぅ 幻の島にぃ、
ボクを案内してよぉ。いい?」
じゃあぁ、そろそろ
上がろうかなぁ~と、ハジメは
カメラマンの 硬い肩を
パンと、叩くと
その音に 驚いて、庭木の鳥が
歌を止めて
枝の雪を バサッと 落とした。