何の因果か。
 事故にあったはずの私は、いつの間にかこの時代にタイムリープしていた。聞けば現代では、車やらに轢かれた主人公が別の世界に行くなんて話が流行っているとかいないとか。
 信じられないことだが、それが現実に我が身に起こったというわけだ。
 頭が痛くなってくる。
 しかも、妙な病気が全世界的に蔓延しており外出も満足にできないときた。せっく未来の世界に来たというのに、あれこれ見て回ることもできない。
 仕方ないので、厄介になっている家にこもって今は筆を走らせている。実は昔に、今の状況と似たような設定で小説を書いたことがある。それの続編でもとしゃれこんだわけだ。
「うん……これは前作以上の出来になるかもしれん」
 ペンが躍るように動く。
 前作が『ペスト』だったから、今作は『コロナ』としようか。