「もしかして、アイスマンに何か言われたの?」
「うぅ……」
「どうしたの。言ってみなよ」

 もう完全に兄妹の立場は逆転している。そこはいつも通りなので気にしないで行こう。

「このままじゃ、ボーナス査定評価マイナスだって……」

 兄は珍しくがっくりと頭を下ろす。兄はボーナスを楽しみにしていた。二人で食べに行く焼き肉屋を検索しまくっていたのを思い出す。そんな兄を見ていると、いくらバカでも、かわいそうに思えてくるから不思議だ。

「お兄ちゃん……大丈夫」
「妹よ」

「私、お兄ちゃんが評価プラスでたくさんボーナスもらってくるなんて偉業、期待すらしてないから」

「……妹よ」

 兄は泣いた。
 優しく言葉をかけたつもりが、兄には違う意味で心に刺さってしまったらしい。