「ごめん」
「なに」
「汗臭かったよね。失敗した」

 蓮がそんなことを言って、私は首を振る。

「……ううん」

 だってあれだけ頑張ったんだから。

「勝つって、信じてくれてた?」
「うん」
「そう」

 嬉しそうな蓮の声が降ってきて、不意に頭を撫でられる。
 私はその心地よさに目を瞑って、その速い心臓の音を聞いていた。