「別にホッとなんてしてない!」
「素直じゃないなぁ」
「ってか信じられないよ! どこが好きなの! なんで好きなの!」
「理由はねー…まぁ、いっぱいあるんだけど、いつも一所懸命なところがかわいいと思ってた。あと、いつもお兄さんのために必死なところも好きだよ」
そう言って、蓮は嬉しそうに目を細めた。
っていうかさ、なんでそんなに余裕なの!
蓮は楽しそうに笑った後、私の頬を撫でる。
その手の体温にほっとして、胸がぎゅっとなって。
そんな自分の気持ちを隠すように、
「私たち、まだ高校生だし、こういう事は!」
と蓮の手を掴んだ。蓮はまた楽しそうに笑う。
「こういう事って?」
「え、っと……」
「もしかしてひより、僕がひよりに何かするって思ってたの?」
「……う」
図星だ。
私は間違いなく自分のファーストキスが奪われると思っていた。
勘違い⁉ だとしたらすんごい恥ずかしいんだけど……。