私が完全に戸惑っているというのに、蓮はクルリと私を自分の方に向かせると私と顔を突き合わせた。
「僕の気持ち、もう分かってたでしょ」
と、蓮は笑った。
私はぐっと唇を噛む。
いや、待て。そもそも、私は蓮が年上の女の人と楽しそうに歩いているのを見たことがある。あれは彼女ではなかったのか。
「そもそも年上の女の人いたじゃない。あれ、彼女じゃないの?」
私は言う。すると蓮は吹き出した。
「たぶん、それ、姉ちゃんだよ」
「姉⁉」
「そう。最近祖父に呼び出されたらよく姉ちゃんと一緒に向かってるから」
「……」
私は言葉に詰まる。
そして、自分が心の底からほっとしていることに気づく。
そんな私の心を見透かしたように、
「ほっとした?」
と蓮が笑った。