その日も暗い夜道を二人で帰る。
蓮が私の歩調に合わせてくれていることがやけに心地いいと思うのはなんでだろう。
つい蓮を見つめていると、蓮もこちらを向いて目が合い、私は驚いて目をそらす。
胸の音がやけに速くなってきて、そんな音も感じないふりをするのに精いっぱいだった。
「どんどん、みんなうまくなってきてるね」
私は話題を探して、そんな話をする。
なにより必死なのは蓮のような気がする。
そんな蓮、今まで見たことなくて、部員も、私も戸惑っていた。
蓮はさらりと、
「ま、県大会で優勝しないといけないし」
と言う。
その言葉に私の心臓はまた跳ねる。泣きそうになるのはなんでだろう。