次の日、なんとなく蓮に会いづらくて、部活の前にうろうろとしていると、
「大和さん」
と言う声が聞こえて、振り返ると、アイスマン、こと、会津校長が立っていた。
「ひぃっ! アイ……っ!」
アイスマン、と言いかけて、思わず口を自分の両手でふさぐ。
すると、何か思い出したように、アイスマンは苦笑する。
「怖がらせてますよね。昔から目つきが悪くて……すみません」
と突然謝ったのだった。突然の謝罪に私は意味が分からなくなる。
少なくとも、今まではそんなことで謝るような人間ではなかった。
「え……、あの……」
戸惑っていると、後ろから、ひより! と呼ばれて、振り向くと、蓮がこちらに走ってやってきていた。すると、蓮は、私の手を取り、私を自分の身体の後ろにかくして、
「校長先生、何か大和さんにご用事ですか?」
と低い声で言う。
「い、いえ……」
校長先生が戸惑う声が聞こえる。
意味が分からなくて、私は首を傾げた。と同時に、蓮の手が私の手をまだ強く掴んでいることに気づいて急に恥ずかしくなる。