それからの蓮は人が変わったみたいにバスケ部の練習に集中していた。
今日はABチームに分かれての部内試合。Aチームは現在のスタメンで、県大会も5位まで導いたチーム。蓮は今回、Bチームだ。
Aチームで今ボールを持っているのは3年のキャプテンで森本敦先輩。蓮には、3年の最強ガードと言われている新村双子兄弟が、満を持して二人でマークについている。
森本先輩のボールのつく手元から蓮が目を上げた瞬間、森本先輩は3ポイントシュートを放った。……が、一瞬で反応した蓮がそれを止めた。
攻守交代となった試合は、まさに蓮の独擅場。と思いきや、先輩方もその手を知り尽くしているのか、ゴールリングに吸い込まれなかったリバウンドを捕球する。
試合は何度も引き分け延長になるが、みんなが疲れ始めた場面で、最後は蓮が高身長を活かし力技でゴールリングにボールを叩き込んで、Bチームが勝利した。
終わった時には、みんな今まで見たことのないくらい息が切れていた。見ていただけの私も、練習の部内試合だと言うのに、手に緊張の汗をたくさんかいてしまった。