「優勝なんて、できないよ」
「大丈夫だよ。今日練習参加して余計にそう確信したよ。マネージャーが信じないと誰が信じるの」
「だって今まで、あんた練習さぼってばっかで……」
「ごめんね。結果的にさぼることになって」
「女の人と遊んでたクセに」

 私が言い放つと、

「……え?」

 蓮は私の顔を凝視した。そして、少し気まずそうな顔をすると、「ええっと……ひよりは何か見たわけ?」と言った。

「年上の女の人と、蓮が楽しそうに歩いてるとこ」
「もしかしてそれ見て、ヤキモチ焼いた?」
「焼くわけないでしょう! なんで私がそんなもの焼かなきゃなんないのよ! そんなしょうもないもの焼かない!」

 私が叫ぶと、蓮は楽しそうに笑った。
 ちょっと待って、私は怒ってる。デートにかまけて、さぼってた蓮にヤキモチなんて焼かないし。

 なのに蓮は楽しそうに目の前でクスクス笑っているのだ。その様子に私は膨れる。なに? なんなの? バカにされてる?
 そりゃ、私は今まで付き合った経験も、男の子と二人で出かけるなんてこともしたことないけど。でも、それがなんなのだ。別にいいじゃないか。