私は蓮のユニフォーム姿をじっと見ていた。蓮がバスケ部に来なくなったのは1年生の夏休み前。それから来たり来なかったりし始めて1年が経つ。もう私たちは2年生。バスケ部でいられる時間はそんなに長くない。
久しぶりに見た蓮のユニフォーム姿から目が離せなかった。この姿だけは……、私は好きだったのだ。
そう思って、頭を振る。違う。そういうことじゃなくて……。
「あのさ、さっきのふざけた話、本気なの」
「『ひよりを一日好きにできる権利』の話?」
「ウン……」
「当たり前でしょ」
「なんで、突然、そんなこと言い出したの?」
「ひよりは……バカなの?」
そう言われて、私はムッとした。
私はバカではない。少なくとも、部活をさぼってた蓮よりは。
「バカじゃないわよ」
「なら県大会優勝する日まで、その意味をきちんと考えておいて」
そういうと、蓮は急に私の頭を二度軽く叩いた。