「大丈夫? ひより」
目をうっすら開けると、蓮が目の前にいる。
「蓮⁉」
「倒れたんだよ、ひより」
見渡すと、私は真っ白なベッドの上に寝ていた。
消毒液の匂いが鼻について、ここが保健室であることがわかる。
窓の外を見ると、日はもう完全に落ちていて、室内の蛍光灯の明るさがやけに目に痛かった。
蓮がユニフォームを着ていることに気づいて、それを見つめる。
「えっと蓮?」
「今、練習終わったとこ。ひより、寝不足だったみたいだから保健室に寝かせてた」
「練習、出てたの……?」
「約束だからね」
そう言った蓮は、次に小さく「それにタイミングもばっちりだったし」と言ったのだけど、その言葉は私の耳には届かなかった。