ガチャ
自分の家に帰っても高校生になって1人暮らしを始めたから言葉を返してくれる人もいない。
はずなのに。
「おかえり!」
「…え?」
確かに声が聞こえた。
聞き覚えのある声だった。
その声が聞こえた場所に近づくと
「ただいまは?」
状況が理解出来なかったのだろう。
僕はかすれ声で言った。
「……ひかり?」
「うん。そうだよ。」
光は優しい声で言った。
だけど、どうして…?
「どうしてここにいるの?だって、光はもう…」
そう、光はもうこの世界にはいない。
いるはずがないんだ。
2年前の夏、事故で死んでしまったのだから…
「死んじゃったはずだからここにはいるはずがないって思った?」
「うん…だって僕の前で光は…」
「私…私はここに、この世界に戻らないほうが良かったかな?」
良かったか良くなかったなんて…
「分からない」
「そっか」
「光…どうしてこの世界にいるの?」
「分からない。でも、明後日には元の世界…死んじゃった人がいく世界に戻るよ」
「…え?」
近くにあるカレンダーを見ると明後日は…
「……8月9日」
8月9日はとても大切な日だ。
とても大切な…光の命日