缶コーヒーを手に取りレジに並んだ。

「おはようございます、俺のこと覚えていますか」

昨日の今日だから流石に覚えていてくれるだろうと思ったが、半端ない人数の客と接客するんだから、絶対とは言い切れないと思った。

やはり、彼女はキョトンとした表情を見せ、目をパチクリした。

彼女は缶コーヒーを見つめ、何か思い出したかのような表情を見せた。

「いつも缶コーヒーを買って頂くお客様ですよね」

そう言ってニッコリ微笑んだ。

「はい」

俺はやったと飛び上がりたい衝動に駆られた。

「あのう、俺と今度デートしてください」

いきなり無謀だと思ったが、考える前に言葉にしていた。

それから、彼女とデートを重ねた。

「琴葉、今度はどこに行こうか」

「驍さんの行きたいところでいいですよ」

こんな調子で、いつも俺の考えを優先してくれる。

ある日車でドライブして、琴葉のアパートに送って行った時、琴葉を引き寄せ抱きしめた。

「琴葉、今度お袋に紹介したいんだけど、会ってくれる」

琴葉はびっくりした表情で俺を見つめた。

「あのう、お付き合いを反対されるんじゃないでしょうか」

「どうして?」

「一回りも上だし、反対されます」

「大丈夫だよ、絶対に琴葉を気にいるよ」

琴葉は不安を露わにし、表情が暗かった。

「琴葉」

琴葉が顔を上げた時俺は彼女の唇にキスをした。