私の体力が回復したころ、中村さんは大切な話があると言ってきた。

「琴葉さん、初めの頃は海斗に頼まれたから、あなたの側にいたんですが、体力が回復して、
僕が側にいなくても大丈夫になったと思うんですが、今度は僕が琴葉さんに側にいて欲しいと思い始めました、だからお願いです、僕のために側にいてください」

「ありがとうございます、とても嬉しいんですが、私、驍のことは忘れられません」

「いいですよ、それでも、いつまででも待ちます」

「中村さん」
中村さんの気持ちに甘えるわけには行かないと思ったが、少しずつ中村さんに惹かれている自分に気づき始めていた。

驍、ごめんね、驍のことは忘れない、でも中村さんの側にいてもいいかな?
私は、驍がいいよって言ったような気がした。

その頃、黄泉の国では、琴葉の事をずっと見ていた二つの瞳があった。

海斗 驍。

琴葉、いいよ、中村と幸せになってくれ。

これからもずっと見守ってくよ、琴葉。

              END