琴葉、おはよう、もう、黄泉の国へ行かなくちゃ。

「もう、時間が来てしまったんだね」

琴葉は俺に抱きつき、泣いていた。

「驍、一緒に行きたい」

俺だって離れたくないよ、でも約束は約束だ。

「死神さんが迎えに来るの?」

いや、俺が死神の所へ行く。

「驍、いや、行かないで」

俺は琴葉を抱きしめた。

琴葉、俺達は一緒にはいられない。
「いやよ、驍がいない世の中で生きていけない」

琴葉は泣きじゃくりながら俺の腕を必死に掴もうとしていた。

「驍、行かないで、行かないで、驍、いや、いやあ」

俺は徐々に意識が遠のいていった。

琴葉、琴葉。

俺は黄泉の国へと旅立った。

「驍、驍」

琴葉はうなだれて泣いていた。

しばらくして、琴葉はその場を離れた。

まるで夢遊病者のようにふらふらと……