俺は琴葉の事が気になり、霊体の状態で琴葉のアパートへ行った。

琴葉はすぐに俺に気づいた。

「霊体さん?」

琴葉、ごめん、中村の姿でキスしようとしてしまった。

しかも抱きしめちゃった、でも琴葉も望んでいた素振りだったみたいだが、俺の気のせいかな。

なあ、中村の事、好きなのか?

琴葉はまるで俺の言葉が聞こえているかのように言葉を発した。

「霊体さん、さっきはごめんなさい、驍としてデートしてくれて嬉しかったです、外見は中村さんなのに、私には驍に見えていたの、だからわがまま言っちゃったし、抱きしめて貰いたくて、積極的になりすぎでしたね、私」

そうなのか、よかったあ。

てっきり中村を好きになったのかと焦ったよ。

「霊体さんも黄泉の国へ行くんですよね、いつですか」

期限はあと二ヶ月くらいしかないな。

「それまで、霊体の状態で構わないので、一緒にいてください」

琴葉!

琴葉はまるで俺の言葉が聞こえるかのような会話をしてくる。

俺は琴葉の頬に触れた。

そして、琴葉の唇にキスをした。
全く感触はない、しかし、胸の高鳴りは加速して行く。

グッと腰を引き寄せ密着させる。

琴葉も感じていてくれるのだろう、目を閉じて頬がピンクに染まる。

琴葉、許されるならこのまま、琴葉を黄泉の国へ連れて行きたい。

しかし、それは許されない事だ。

琴葉、俺はお前だけを愛してる、感じてくれ、俺の気持ちを。

しばらく琴葉を抱きしめたまま、時間だけがいたずらに過ぎて行った。

琴葉は俺の腕の中ですやすやと眠りについた。

俺は琴葉のアパートをあとにした。