「後追い自殺は一番やってはいけないことです」

そうだ、中村、がんばれ。

「そうですね、ご心配をおかけしてすみませんでした」

「それじゃ、僕はこれで失礼します」

中村は琴葉のアパートを後にした。

琴葉は部屋に戻った。

そして俺を呼んだ。

「霊体さん、いるんですよね」

俺は琴葉の手を握った、感触はない。

「暖かいです」

琴葉は俺を感じてくれたみたいに呟いた。

「教えてください、霊体さんは驍なの?」

俺は正体を明かすことは出来ない。

「教えては頂けないんですね、それなら中村さんの身体を借りて、私とデートして頂けないですか」

琴葉はとんでもない提案を俺にぶつけて来た。

そんな事出来ないだろう。

確かに中身は俺だが、身体は中村なんだからな。

「お願いします、私が中村さんに頼みますから」
永い時間じゃなければ、問題無いか。

あとは俺の問題だな、中村と琴葉がデートって、琴葉に触れなければいいんだよな。

そして、中村の身体を借りて、俺は琴葉とデートする事になった。